学級崩壊はあなたのせいじゃない|今と昔の「荒れ」の違いを現役教員が解説
どうも!こんにちは、1児の数学教師です。(^o^)/
今から限りある人生の過ごし方についての授業を始めたいと思います。
「授業が成立しない。もう自分の力ではどうにもならない」
「他のクラスはうまくいっているのに、なぜ自分のクラスだけ・・・」
「やっぱり自分に指導力がないからなんだろうか」
学級経営がうまくいかず、自分を責め続けている先生はいませんか?
学級崩壊を恐れて毎日精神的につらい気持ちになっているかもしれませんが、つらさ前提がそもそも間違っています。
担任がクラスの雰囲気に与える影響は2〜3割です。
学級の雰囲気は担任が作るもの。
そう思われがちですし、私たち自身もそう思い込まされています。
でも、現場を10年以上見てきた実感として断言しますが、担任の力がクラスに影響するのは2〜3割程度です。
残りの7〜8割は、生徒たちが作っています。
しかも、その空気を悪くしているのはクラス全員ではありません。
体感として4〜5人程度の一部の生徒です。
そして忘れないでほしいのが、クラスの大半の生徒は「自分のクラスをもっとよくしたい」と思っているということ。
ただ、生徒同士のパワーバランスがあって、良い方向に動かせないだけなのです。
つまり、みなさんが直面しているのは指導力の問題ではなく生徒間のパワーバランスの問題です。
この記事では、
- 今の学級崩壊は「静かな荒れ」に変わっているという実態
- なぜ担任1人に責任が集まってしまうのか
- 追い詰められる前に、取れる選択肢
を、お話しします。
ぜひ最後まで読んで明日から実践できるヒントをつかんでください。
私は公立高校で10年以上勤務し、国立大附属高校へ転職しました。
私のプロフィールに興味のある方はコチラ→🔗1児の数学教師ってどんな人?
今回の授業のテーマは【学級崩壊の本当の原因と、追い詰められる前にできること】です。
学級崩壊の1番残酷なところは、それが「担任の力量不足」として扱われてしまうことです。
🌀授業が成立しない
🌀指示が通らない
🌀教室がざわつく
そのとき、誰も「このクラスの生徒構成が難しいですね」とは言ってくれません。
その代わりにこんな空気が流れます。
「去年の担任のときはもっと落ち着いていたのに」
「学級経営の問題だよね」
「もっと厳しくしたほうがいいんじゃない?」
そして何より、自分自身が1番自分を責めます。
私は指導力がない。
私が至らないから、生徒が荒れる。
他の先生ならうまくやれるのに。
でも、それは違います。
私はこれまで、ベテランの先生が学級経営に苦しむ姿も見てきました。
何度も担任を経験し、力のある先生です。
それでも、生徒指導が大変な学校で担任を持ったときはうまくいきませんでした。
能力の問題ではないんです。
生徒間のパワーバランスと環境の問題です。
まずは、この事実を知ってください。
それだけで、抱えている自責の念は少し軽くなるはずです。
みなさんが自分を責めずにすむように。
まずは一緒に、学級崩壊の本当の姿から確認していきましょう。
学級崩壊の正体【今は「静かな荒れ」に変わった】
まず知ってほしいのは、学級崩壊の形が以前とはまったく変わっているということです。
ここを知らないと、周囲に理解してもらえません。
昔の「荒れ」と、今の「荒れ」はまったく違う
10年ほど前まで学校で問題になっていたのはこういう行為でした。
・バイク通学
・喫煙
・対教師暴言
・対教師暴力
・生徒間暴力
目に見える荒れです。
誰が見ても「これは大変だ」とわかる状態でした。
ところが、今の現場で指導対象になっているのはまったく別のものです。
・無気力
・スマホ依存
・深夜までのスマホやゲームが原因の昼夜逆転した生活習慣の乱れ
・提出物が出せない
・話をしても、伝わっているのかわからない
暴れているわけでも、大声を出しているわけでもありません。
表面上は静かなのに授業が成立しない。
これが今の学級崩壊であり「静かな荒れ」と呼ばれる状態です。
「静かな荒れ」のほうがはるかに指導しにくい
ここが、この記事で1番お伝えしたい部分です。
昔の荒れはたしかに激しいものでした。
反抗もされるし、鬱陶しい態度も取られます。
でも、粘り強く話せばわかってくれる生徒が多かったんです。
時間はかかるけれど、指導が響いている手応えがありました。
一方、今の「静かな荒れ」はどうか。
🌀話をしても、伝わっているのかどうかがわからない
🌀反発されるわけでもない
🌀無視されるわけでもない
🌀ただ、響いている感触がない
だから、次に何をすればいいのかもわからない。
これは、指導する側にとって非常に消耗する状況です。
手応えがないまま、同じことを繰り返すしかないのですから。
しかも厄介なのが、周囲から見て「荒れているように見えない」ことです。
教室は静かなので同僚も管理職も深刻さに気づきません。
それどころか「うまくいっていないのは、担任の問題では?」と受け取られてしまう。
苦しさが誰にも伝わらないのです。
静かだから軽い、なんてことはありません。むしろ、その逆です。
コロナ禍が、子どもたちを変えた側面もあります
もう1つ、現場で感じている変化があります。
コロナ禍のとき、多くの学校で「体調不良を訴えた生徒は、発熱の有無にかかわらず、すぐに帰宅させる」というルールがありました。
感染対策としては当然の判断です。
ただ、その環境で数年間を過ごした結果、「しんどくても頑張る」という経験を積まないまま成長した生徒が増えたように感じます。
勉強でもスポーツでも、ある程度の負荷をかけないと上達しません。
でも、「しんどい」と言えばすぐに楽になれる環境にいた子どもたちは、その手前で止まってしまう。
これは、生徒が悪いという話ではありません。
そういう環境に置かれただけです。
ただ、その変化が今、教室に表れています。
ある年配の先生は、こう言っていました。
「コロナ禍で中学・高校生活を送った生徒たちが社会に出たら、世の中は成り立たなくなるんじゃないかな」と。
極端な言い方かもしれません。
でも、それくらいの変化を現場は感じている、ということです。
クラスの空気を作っているのは一部の生徒
ここで、冒頭の結論に戻ります。
学級の雰囲気を作っているのは、担任ではなく生徒たちです。
担任の影響は2〜3割程度。
そして重要なのが、空気を悪くしているのはクラス全員ではないということです。
私の体感では4〜5人程度。
その一部の生徒が、担任を困らせている状態です。
では、残りの生徒はどう思っているのか。
大半の生徒は「自分のクラスをもっとよくしたい」と思っています。
これは断言できます。
誰だって、居心地の悪い教室で1年間過ごしたくはありません。
ただ、動けないんです。
生徒同士のパワーバランスがあるからです。
声を上げれば、自分が標的になるかもしれない。
だから、黙っている。
つまり、みなさんが戦っているのは「クラス全体」ではありません。
一部の生徒と、その生徒に動かされてしまうパワーバランスです。
これは指導力でどうにかできる範囲を超えています。
40人を敵に回しているわけじゃない。まずそこを、勘違いしないでください。
それでも、責任は担任1人に集まる
ここが、この問題の最も理不尽なところです。
生徒が提出物を出さない。
問題行動を起こす。
そのたびに、担任の先生が周りの先生に「すいません」と謝っている場面を私は何度も見てきました。
そのたびに思うんです。
その先生が悪いわけじゃないのにな、と。
特に高校では、提出物の管理も、問題行動も、ほとんどが生徒本人の責任です。
百歩譲って、生徒がまだ自分で管理できない発達段階だからという理由があっても、謝るべきは保護者であって担任ではありません。
でも、日本の学校には「生徒がちゃんとできないことの責任は、保護者ではなく担任にある」という空気が根強くあります。
この空気の中で真面目な先生ほど、すべてを自分の責任として抱え込んでいきます。
そして今、指導そのものがしづらくなっている
追い打ちをかけるように指導の難易度そのものが上がっています。
私が小学生・中学生・高校生だったころは、先生に注意されたら「自分が悪かった」と思っていました。
むしろ、親が学校に出てくることを「恥ずかしい」と感じていたものです。
ところが今は、こういう発想になることが増えています。
学校で注意された
↓
自分は悪くないのに、先生が何か言ってきた
↓
納得できないから、親に言って学校に文句を言ってもらおう
↓
(保護者も)うちの子が悪いわけじゃない。先生の指導に問題がある
だから教員の側も「これを注意したら、保護者から何か言われるかもしれない」とためらうようになります。
私自身、その経験は数えきれないほどあります。
また、厳しい言葉で生徒を奮起させるような指導も今はできません。
「厳しい指導」が「暴力・体罰」につながるケースが多発した経緯を考えれば、これは仕方のないことだと思います。
ただ、結果として指導の選択肢がどんどん狭まっているのは事実です。
手足を縛られた状態で、結果だけを求められている。それが今の現場です。
追い詰められる前に、知っておいてほしいこと
構造がわかったところで具体的な話をします。
今できることと、それでも限界がきたときの選択肢です。
1番危険なのは「年度末まで耐える」
私が現場で見てきた中で、最も危ないと感じる選択があります。
それが「年度末まで耐える」です。
以前、学級経営に苦しんでいた先生と話す機会がありました。
その先生は初任者ではなく、何度も担任を経験したベテランでした。
それでも、生徒指導が大変な学校で担任を持ったとき、うまくいかなくなっていたのです。
その先生は、こう話していました。
「クラスの中に1人、私のことを心配してくれる生徒がいる。配布物を手伝ってくれたりして、感謝している。本当はもう辞めたいけど、その生徒がいるから年度末までは頑張ろうと思う」
美しい話に聞こえるかもしれません。
でも私には、限界を超えてまで自分に鞭を打っているようにしか見えませんでした。
そして、多くの先生が同じ選択をしていると思います。
「年度途中で担任を降りる」=「他の先生に迷惑をかける」という気持ちがあるからです。
教員を志した時点で、誰もが責任感を持っているのですから、当然です。
でも、その先に何があるか。
耐えきれずに心を壊して、病欠に入る。
この流れを、私は何度も見てきました。
実際、精神疾患で休職する教員は年間7,000人を超え、その原因の1位は「児童・生徒への指導」(26.5%)です。
4人に1人が、生徒との関わりで倒れているのです。
耐えることが正解とは限りません。倒れる前に、動いていいんです。
今日からできる4つのこと
とはいえ、明日も教室に立たなければなりません。
今できることを4つお伝えします。
- 一部の生徒とクラス全体を切り分ける
- 見方の生徒の存在に気づく
- 記録を残す
- 限界のサインが出たら我慢しない
① 一部の生徒と、クラス全体を切り分ける
「クラス全員に否定されている」と感じてしまうと心が持ちません。
実際に空気を作っているのは数人です。
大半の生徒は味方だと意識的に思い出してください。
② 味方の生徒の存在に気づく
・配布物を手伝ってくれる子
・話を聞いてくれる子
そういった生徒は必ずいます。
その存在に感謝することは大切です。
ただし、その子を「耐える理由」にしないでください。
そこは切り分けましょう。
③ 記録を残す
問題行動があったら日時と内容を記録してください。
管理職や保護者と話すときの根拠になりますし「自分の感じ方がおかしいのでは」という自己不信を防ぐ効果もあります。
④ 限界のサインが出たら我慢しない
眠れない、涙が出る、朝起きられない。
こういった症状は心のSOSです。
これらが出ているなら我慢は禁物です。
心療内科の受診も休職することも正当な選択です。
学校の「支援」が、逆にプレッシャーになることもある
ここも、正直にお伝えしておきます。
学級経営がうまくいかないと、管理職がホームルームなどにサポートの先生を入れることがあります。
一見、親切な対応です。
でも担任の側からすると、こう感じてしまうことがあります。
「本来なら自分1人でやるべきことが、できていない」
「サポートの先生から、教室の様子が管理職に報告されているのでは」
助けてもらっているはずなのにプレッシャーが増えるのです。
なぜこうなるかというと学校の支援は多くの場合、担任のケアではなく「そのクラスの生徒に不利益が出ないための措置」として設計されているからです。
だから、もし今みなさんがサポートを受けていて苦しいと感じているなら、その感覚は正常です。
おかしいのはみなさんではありません。
それでも限界なら環境を変えていい
🌀対処法を試しても状況が変わらない
🌀心と体に限界のサインが出ている
そんなときは、環境そのものを変えるという選択肢があります。
学級崩壊のつらさは、突きつめれば生徒間のパワーバランスと環境の問題です。
だとすれば、環境が変われば解決する可能性が高い、ということでもあります。
具体的には3つの道があります。
- 次年度、担任を外してもらう(管理職に相談する)
- 異動を希望する(公立なら、学校が変われば生徒層も変わります)
- 転職して、教員以外の道を選ぶ
そして、覚えておいてほしいことがあります。
学級経営で苦労した経験は決して無駄になりません。
✅️40人規模の集団をまとめようと試行錯誤した経験
✅️多様な保護者と関係を築いてきた経験
✅️限られた時間で複数の業務をこなしてきた経験
これらは、民間企業がのどから手が出るほどほしい能力です。
このブログで何度も伝えている「教員の転職の大原則」をお伝えしておきます。
①転職は後出しジャンケンと同じ
②転職にはリスクがあるけど、転職活動はノーリスク
③学校現場に戻る道もある
「転職」と「転職活動」は、まったくの別物です。
転職活動は、いわば市場調査。
転職に向けて動いてみて良い話がなければ、今の学校に残ればいいだけです(ノーリスク)。
内定が出てから、行くか残るかを選べる。
だから「後出しジャンケン」なのです。
「いざとなったら、別の道もある」。
そう思えるだけで、明日からの教室が少し違って見えます。
自分の経験が外でどう評価されるかは、転職エージェントに無料で相談すれば教えてもらえます。
転職エージェントに登録したからといって、辞める必要はありません。
つらい経験で身につけた力ほど、外の世界で光ります。
よくある質問
Q. やはり、担任の指導力の問題ではないのですか?
- 担任の影響は2〜3割程度です。ベテランの先生でも、環境によっては学級経営がうまくいかないことがあります。能力ではなく、生徒間のパワーバランスと環境の問題です。
Q. 他のクラスはうまくいっています。やはり自分のせいでは?
- クラスの生徒構成は、毎年まったく違います。空気を悪くする数人がどのクラスにいるかで、状況は大きく変わります。担任の力だけで決まるものではありません。
Q. 「静かな荒れ」を管理職に相談しても、伝わりません。
- これが「静かな荒れ」の最大の問題です。記録を残して、具体的な事実として伝えるのが有効です。「◯月◯日、◯人が指示に従わなかった」という形にすると、状況が共有しやすくなります。
Q. 年度途中で担任を降りることはできますか?
- 心身の不調がある場合は、可能です。医師の診断書があれば、話が具体的に進みます。「他の先生に迷惑がかかる」と我慢して倒れるほうが、結果的に影響は大きくなります。
Q. 学級崩壊を経験したことは、転職で不利になりませんか?
- なりません。むしろ、困難な状況で試行錯誤した経験は、マネジメント経験として評価されます。伝え方さえ間違えなければ、立派な強みです。
まとめ:みなさんの指導力の問題では、ありません
学級崩壊の本当の原因と追い詰められる前にできることについて、お話ししてきました。
最後にもう一度、この記事の結論をお伝えします。
担任がクラスの雰囲気に与える影響は2〜3割です。
残りの7〜8割は生徒たちが作っています。
そして空気を悪くしているのは、クラス全員ではなく4〜5人程度の一部の生徒です。
大半の生徒は「クラスを良くしたい」と思っている。
ただ、生徒同士の力関係で動けないだけなのです。
そのうえで、本文でお伝えした大事なことをもう一度整理します。
まず、今の学級崩壊は「静かな荒れ」に変わりました。
暴力や暴言ではなく、無気力、スマホ依存、昼夜逆転。
表面上は静かなのに授業が成立しない。
しかも昔の荒れと違って、話をしても伝わったのかどうかがわからない。
手応えのないまま消耗していく、非常に厳しい状況です。
そして残酷なのが、周囲から見て荒れているように見えないこと。
だから苦しさが伝わらず、「担任の問題では」と受け取られてしまいます。
さらに今は、指導そのものが難しくなっています。
注意すれば保護者からのクレームが心配になる。
厳しい言葉で発奮を促すこともできない。
手足を縛られた状態で、結果だけを求められているのが現状です。
だからこそ、「年度末まで耐える」だけは選ばないでください。
責任感の強い先生ほどこれを選び、そして心を壊していくのを、私は何度も見てきました。
実際、精神疾患で休職する教員は年間7,000人を超え、その原因の1位は「生徒への指導」です。
今できることは4つ。
- 一部の生徒とクラス全体を切り分ける
- 味方の存在に気づく
- 記録を残す
- 限界のサインが出たら我慢しない
それでも変わらないなら、環境を変えていいのです。
担任を外れる、異動する、転職する。
どれも正当な選択です。
最後にもう一度だけ言わせてください。
学級崩壊はみなさんの指導力の問題ではありません。
ベテランの先生でも、環境が変わればうまくいかなくなります。
それが現実です。
どうか、自分を責めないでください。
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自分の心、自分の身体、自分の時間を大切にしてください。
ということで、今日の授業を終わります。
※出典:文部科学省「公立学校教職員の人事行政状況調査」






