教員がブラック企業を見分ける方法|失敗を防ぐ3つの手順
どうも!こんにちは、1児の数学教師です。(^o^)/
今から限りある人生の過ごし方についての授業を始めたいと思います。
「せっかく転職してもブラック企業だったらどうしよう」
「求人票を見ても良い会社かどうかの判断がつかない」
「安定を捨てて出ていくんだから、失敗だけは絶対にしたくない」
教員から民間企業への転職を考えたとき、この不安は誰もが抱えるものだと思います。
そこのみなさん、その不安にははっきりした理由があります。
私たち教員には、企業を見分けるための「物差し」がないのです。
大学を出てそのまま教壇に立った人がほとんどですから、民間企業で働いた経験がありません。
だから、求人票を見ても何が普通で何が異常なのか、判断する基準そのものを持っていないんです。
ぶっちゃけ、私自身も今求人票を渡されても「これは危ない会社だ」と言い当てる自信はありません。
そもそも求人票の見方すら、まともに習ったことがないからです。
おそらく、多くの先生が同じだと思います。
物差しがないなら、次の3つの手順で「外から」判断してください。
手順①:自分で調べる(9つのチェックポイント)
手順②:他人の評価を見る(公的リストと口コミ)
手順③:転職エージェントを使う(実はこれが最も効率的)
この3つを踏めば、ブラック企業を引く確率は大きく下げられます。
完全にゼロにはできませんが確率を下げることはできます。
この記事では、
- そもそも教員が企業を見分けられない理由
- 自分でチェックできる9つのポイント(9つめは教員だけのサインです)
- 他人の評価を確認する方法
- なぜ転職エージェント経由だとブラック率が下がるのか
を、お話しします。
ぜひ最後まで読んで、明日から実践できるヒントをつかんでください。
私は公立高校で10年以上勤務し、国立大附属高校へ転職しました。
私のプロフィールに興味のある方はコチラ→🔗1児の数学教師ってどんな人?
今回の授業のテーマは【教員がブラック企業を見分ける3つの手順】です。
この記事を書こうと思ったのには、理由があります。
教員の転職には、一般の転職とは違う重みがあるからです。
民間から民間への転職なら、仮に失敗しても「また転職すればいい」で済みます。
転職が当たり前の世界で生きてきた人にとって、1回の失敗は致命傷になりません。
でも、教員は違います。
公務員という安定を、自分の意思で手放して出ていくわけです。
周囲からは「もったいない」と言われ、家族にも心配をかけ、それでも決断する。
その先がブラック企業だったとしたら、そのダメージは計り知れません。
そして、1番怖いのはここです。
私たちは、何がブラックなのかを判断する経験値を持っていません。
たとえば「残業月40時間」という求人を見て、それが多いのか少ないのか、すぐに判断できるでしょうか。
おそらく多くの先生は「学校よりマシかも」と思ってしまいます。
そう、学校というブラックな環境が基準になっているから、多少ひどい会社でも普通に見えてしまうのです。
ここで、1つだけ具体的な話をさせてください。
私たちの感覚がどれだけズレているか、身近な例でお話しします。
部活動の手当です。
土日に部活動に付き添うと手当が出ます。
国が示している算定の基準では、休日に3時間程度指導した場合で2,700~3,000円ほどです(金額は自治体によって異なります)。
時給に直すと900~1,000円前後ということになります。
これは現在の最低賃金を下回る水準です。
しかも、平日の付き添いにはそもそもお金が出ません。
民間企業なら休日に働けば割増賃金が発生します。
法律で、
・時間外労働は25%以上
・休日労働は35%以上
の割増と決まっているからです。
ところが学校では、それが「手当」という別の仕組みになっているので、最低賃金レベルの金額で処理されてしまいます。
それでも、です。
年度初めになると、当たり前のように「どの部活の顧問を希望しますか?」というアンケートが配られます。
そして顧問が割り当てられ職員会議で承認されていきます。
誰も「おかしい」とは言いません。
私も含めて、それが普通だと思って何年もやってきました。
これが、私たち教員の物差しです。
この物差しを持ったまま民間企業の求人票を見たら、どうなるでしょうか。
「残業代が出る」というだけで、良い会社に見えてしまうかもしれません。
これが、教員の転職で最も危険な落とし穴だと私は思っています。
だからこそ、自分の感覚ではなく、外から判断できる基準を持ってください。
みなさんが安定を手放した先で後悔しないように。
まずは一緒に、自分で調べられるチェックポイントから確認していきましょう。
自分で調べる【ヤバい会社の9つのサイン】
まずは、自分の力で調べられることから始めます。
求人票やホームページを見ながら、以下の9つをチェックしてください。
- 法令違反
- 高い離職率
- ブラックになりやすい業界
- 年中求人
- 高すぎる給与
- 精神論
- 条件が変わる
- 夜のオフィス
- 休んだとき、給料が出るか
最初の8つは、転職を考える人なら誰にでも当てはまるものです。
そして9つ目は、教員だけが見落とすサインです。
ここが、この記事で1番お伝えしたい部分になります。
1つ当てはまったら即アウト、というわけではありません。
ただし、複数当てはまるなら、かなり警戒したほうがいいです。
サイン①:過去に法令違反がある
法令違反で処罰を受けたことがある会社は、要注意です。
理由はシンプルで、不正をする会社には「不正をする文化」があるからです。
文化はそう簡単に変わりません。
やる会社は何度でもやりますし、やらない会社は一度もやりません。
学校で考えても同じです。
体罰やハラスメントが起きる学校はたいてい1回では終わりません。
組織の空気そのものが問題だからです。
サイン②:離職率が異常に高い
人が居つかない会社には、居つかないだけの理由があります。
確認方法は2つあります。
・3年後離職率:『就職四季報』などで確認できます。
→大卒の平均は30%前後とされているので、これを大きく超えるなら警戒
・平均勤続年数:企業のホームページや採用情報で公開されていることがあります。
→全体の平均はおよそ12年前後とされているので、これを大きく下回るなら要注意
※数字の出典は記事末に記載しています。公開時点の最新データをご確認ください。
サイン③:ブラックになりやすい業界である
特定の業界がすべてブラックだと言いたいわけではありません。
ただ、構造的にブラック化しやすい業界があるのは事実です。
こういう構造を抱えている業界は、注意が必要です。
・需要が減っている業界:一人あたりのノルマが過大になりやすい
・利益率が低い業界:人件費を削らざるを得なくなる
・慢性的に人手不足の業界:長時間労働を求めたくなる
ここで、教員のみなさんに注意してほしいことがあります。
教員からの転職先として人気の高い学習塾業界も、この「注意が必要な業界」に含まれます。
「教えることが好きだから塾へ」という発想は自然ですし、私も理解できます。
ただ、塾業界は夜型勤務・生徒募集のノルマ・繁忙期の激務といった特徴があり、学校とは別の形でハードになる可能性があります。
塾・予備校への転職を考えている方は、この記事もあわせて読んでください。
サイン④:一年中、求人を出している
転職サイトを定期的に見ていると、「この会社、いつ見ても募集しているな」という企業に気づきます。
中途採用を止められない会社は、次のどれかである可能性が高いです。
・入社したいと思われる魅力がない
・入った人がすぐ辞めてしまう
・成長していて、人員を増やし続けている
3つ目なら問題ありませんが、1つ目・2つ目だと危険です。
見分けるには、その会社の業績や社員数の推移を調べてみてください。
サイン⑤:未経験なのに給与が高すぎる
「未経験者歓迎、年収600万円可能」
こういう求人を見たら、一度立ち止まってください。
未経験者に高い給与を出す理由は、「スキルが評価された」以外に考えられるものがあります。
・高い給与を出さないと人が集まらない(=職場環境に問題がある)
・見かけ上高く見せている(=みなし残業代が大量に含まれている)
・提示条件と実際の条件が違う
特に「みなし残業」には注意してください。
「月給35万円(固定残業代80時間分を含む)」のような求人は、実質的に月80時間の残業を前提としています。
教員は給特法(教職調整額)の仕組みに慣れているので、「残業代が出ないこと」に鈍感になりがちです。
ここは意識して見てください。
サイン⑥:精神論が多い
求人票やホームページ、面接官の発言にこういう言葉が並んでいたら警戒してください。
・やりがい
・アットホームな職場
・夢に向かって
・チャレンジング
・熱意のある方
具体的な労働条件を語れないから、あいまいな言葉で埋めている可能性があります。
ここも、教員は要注意です。
私たちは「やりがい」「子どものために」という言葉に慣れきっています。
その言葉に感動してしまう体質があると、自覚しておいてください。
どういうことか、学校の例でお話しします。
文化祭や体育祭の前になると、生徒が土日に学校に来て活動することがあります。
そのとき、職員室では「誰が学校に来るか」を決めることになります。
このときの空気が独特なんです。
「生徒が活動したいと思っているんだから、学校としてその場を提供するのは当然でしょ?」
誰かが声高に言うわけではありません。
ただ、そういう前提で話が進んでいきます。
テスト前も、受験前も同じです。
生徒が必要としている場面では協力するのが当たり前。
そして、協力しない教員に対しては、こういう空気になります。
「こういう場面で生徒に協力しないなら、どうして教員になったの?」
この言葉の強さが、わかるでしょうか。
反論できません。
断る理由を根こそぎ奪われるからです。
「子どものために」という言葉は、それくらいの力を持っています。
私たちは、この言葉に何年も囲まれて働いてきました。
だからこそ、「やりがい」「夢」「熱意」といった言葉が並ぶ求人票を見たときに、警戒するどころか、むしろ好感を持ってしまう危険があります。
「やりがい」で人を集める組織は、学校だけで十分です。
サイン⑦:選考中に話が変わっていく
選考が進むにつれて、条件が変わっていく会社は危険です。
・雇用形態(正社員のはずが契約社員に)
・給与額
・仕事内容
・試用期間の条件
内定が近づくと「ここまで来たのだから」と流されがちです。
でも、入社前に約束を守らない会社が、入社後に守ることはありません。
条件は必ず書面で確認してください。
サイン⑧:夜遅くまでオフィスの電気がついている
最後は、原始的ですが確実な方法です。
会社が「働き方改革を進めています」「残業はほとんどありません」と言っていても、オフィスの明かりは嘘をつきません。
内定を受ける前に、一度その会社の近くを通ってみる。
これだけで分かることがあります。
職員室の電気がいつまでついているか。それと同じ話です。
サイン⑨:休んだとき、給料が出るか【教員だけのサイン】
ここまでの8つは誰にでも当てはまるチェックポイントでした。
ですが、教員にはもう1つ必ず見てほしいサインがあります。
それが「休んだとき、給料が出るのか」です。
予備校講師になった叔父の話
私の叔父は、私立高校の教員をしていました。
定年退職したあと、そのまま学校に残って再任用として契約する道もあったのですが、叔父が選んだのは予備校の講師でした。
実際に話を聞くと、最初はとても良さそうに見えました。
「授業時間の前に出勤して、授業が終わればすぐ帰れる。めちゃくちゃ楽だ」
これは納得できる話です。
叔父は私立の進学校にいたので、受験のノウハウがすでに身についていました。
予備校に移っても、新しく知識をつけ直す必要がなかったのです。
分掌・部活動・保護者対応もありません。
授業だけをして帰る。
教員から見ると、理想のような働き方に見えます。
ところが、そのあとに問題が起きました。
叔父は体調を崩し、手術のために入院することになったのです。
もし私立高校で再任用の教員を続けていたら、有給休暇や病気休暇を使えました。
休んでいる間も収入は途切れません。
ですが、予備校の講師はそうではありませんでした。
「授業をしない」ことは、そのまま「給料が発生しない」ことを意味します。
叔父は本当なら、退院後にもう1週間は休みたかったそうです。
でも、すぐに復帰しました。
休むという選択肢が実質的になかったからです。
この話を聞いたとき、私はハッとしました。
私たち教員は、休んでも給料が出ることを「当たり前」だと思って生きています。
有給休暇があり、病気休暇があり、共済組合があります。
だから、求人票を見るときに「休んだときどうなるか」という発想が、そもそも出てこないのです。
このブログで紹介している「塾・予備校への転職」について
誤解のないようにお伝えしておきます。
このブログで紹介している「塾・予備校への転職」は、専任(正社員)としての転職を指しています。
専任であれば、叔父のような働き方とは違い、雇用の面でもう少し守られています。
社会保険にも入りますし、有給休暇もあります。
ですから、「塾・予備校はやめておけ」という話ではありません。
ただ、求人票に書かれた給与の額だけを見て判断しないでください、ということです。
見てほしいのは、ここです。
✅ 雇用形態は、正社員か。業務委託や時間契約ではないか
✅ 給与は固定給か、それとも授業のコマ数で決まるのか
✅ 有給休暇の取得実績はどのくらいか
✅ 病気で長期に休んだとき、収入はどうなるのか
✅ 社会保険(健康保険・厚生年金)に入れるか
公立・私立を問わず、学校という職場は、何かあったときの保障がとても手厚い場所です。
そこから出るということは、その手厚さを手放すということでもあります。
それが悪いと言っているのではありません。
知らずに手放すのが危険だ、ということです。
元気なときの条件だけで、職場を選ばないでください。
▶「教員から塾・予備校へ転職するには?年収・働き方を解説」の記事へ🔗
他人の評価とプロの力を借りる【ここからが本番】
自分で調べられることには限界があります。
ここからは、他人の目とプロの力を使いましょう。
方法①:厚生労働省の「ブラック企業リスト」を見る
正式には「労働基準関係法令違反に係る公表事案」という名前で、厚生労働省が公表しています。
労働基準法に違反して送検された企業が、実名で掲載されているものです。
🌀賃金を支払わなかった
🌀違法な時間外労働をさせた
🌀残業代を支払わなかった
こうした内容で載っている企業もあるので、選考を受ける会社の名前がないか、一度確認しておくと安心です。
方法②:口コミサイトを見る
実際に働いていた人の話を聞ければ理想ですが、都合よく知り合いがいるとは限りません。
であれば、口コミサイトを使いましょう。
・OpenWork
・転職会議
・エン ライトハウス
・キャリコネ
といったサイトがあります。
正直に言うと、私自身はこうしたサイトを使ったことがありません。
教員を続けているので使う機会がなかったからです。
ただ、大学時代の友人(民間企業に勤めていて、数回転職しています)が、こんなふうに教えてくれたことがあります。
「前の会社の情報が、こんな風に載ってたよ」
見せてもらって驚きました。
残業の実態や社内の雰囲気まで書かれているのです。
求人票には絶対に載らない情報でした。
ただし、注意点があります。
口コミは「辞めた人」が書くことが多いので、どうしても悪い意見に偏りがちです。
1つの投稿を鵜呑みにせず、複数の投稿に共通して出てくる内容を拾うようにしてください。
学校の評判と同じです。1人の声より、みんなが言っていることのほうが実態に近いです。
方法③:転職エージェントを使う【これが1番効率的】
そして、教員にとって最も現実的で効果が高いのがこの方法です。
意外に思われるかもしれませんが、転職エージェント経由の求人は転職サイトの求人よりブラック率が低い傾向があります。
理由は、お金の流れを見れば分かります。
企業がエージェント経由で人を採用すると、採用が決まった時点で企業はエージェントに高額な手数料を払うことになります(一般的に年収の3割前後と言われます)。
つまり、こういうことです。
- 高いお金をかけて採用した人材にすぐ辞められたら大損する → だから大事にする
- そもそも採用にお金をかけられる会社は利益が出ている → 経営が安定している
- 人に投資する意思がある会社 → 人材を消耗品と考えていない
この3つが揃う可能性が高いのが転職エージェント経由の求人なのです。
そもそも、いい求人は表に出てきません
ここで、妻の話をさせてください。
私の妻は、転職エージェントを使って民間企業に転職しました。
年収は60万円ほど上がっています。
そのときに1番驚いたのがこれです。
妻が受けた企業の求人は転職サイトには載っていませんでした。
エージェントを使わなければ、その求人の存在すら知らないまま終わっていたということです。
もう1つ、助かったことがあります。
内定が出たあと、担当者がはっきりと「ここに決めるべきです」と後押ししてくれました。
社会的に転職が一般的になってきたとはいえ「この会社に決めるべきか、もっといい会社を探すべきか」という判断は、素人には難しいです。
そこは、やはり専門家の意見を聞かないとわかりません。
近くで見ていた私も、あの一言があってよかったと思っています。
教員にとっての決定的なメリット
転職エージェントを使う理由はそれだけではありません。
冒頭でお伝えした通り、私たち教員には企業を見分ける物差しがありません。
ここを補ってくれるのが転職エージェントです。
エージェントは求人票には載らない情報を持っています。
- 実際の残業時間
- 有給休暇の取得率
- 離職率と辞めた人の理由
- 上司になる人の人柄
- 過去に紹介した人が定着しているかどうか
求人票を100回読んでも分からないことを担当者は知っています。
そして聞けば教えてくれます。
「前に紹介した方は、今も続いていますか?」
この一言を聞くだけでも価値があります。
そしてもう1つ、教員に特にお伝えしたい聞き方があります。
先ほどの「9つ目のサイン」で触れた部分です。
「体調を崩して長く休むことになった場合、収入はどうなりますか?」
自分では聞きにくい質問も、エージェントなら代わりに確認してくれます。
このブログで何度も伝えている「教員の転職の大原則」をお伝えしておきます。
①転職は後出しジャンケンと同じ
②転職にはリスクがあるけど、転職活動はノーリスク
③学校現場に戻る道もある
「転職」と「転職活動」は、まったくの別物です。
転職活動は、いわば市場調査。
転職に向けて動いてみて良い話がなければ、今の学校に残ればいいだけです(ノーリスク)。
内定が出てから、行くか残るかを選べる。
だから「後出しジャンケン」なのです。
実際、転職活動をした結果、「今の仕事も悪くないな」と気づいて残る先生もいます。
それも立派な成果です。
・「選べる状態」で今の仕事を続けるのと、
・「ここしかない」と思って続けるのとでは、
心の重さがまったく違います。
物差しがないなら、物差しを持っている人に聞くのが1番早いです。
それでもハズレを引いたときの「保険」
正直にお伝えします。
100%確実にブラック企業を見分ける方法は存在しません。
同じ会社でも、部署や上司によって環境はまったく違いますし、合う・合わないは人それぞれだからです。
だからこそ、万が一のときの保険を持っておくことをおすすめします。
保険①:教員には「戻れる」という最強の保険がある
これが、教員の最大の強みです。
教員免許は、辞めても失効しません。
そして今は記録的な教員不足です。
文部科学省の調査によると、公立学校の教員採用試験の競争率は2.9倍となり、はじめて3倍を下回りました。
小学校にいたっては2.0倍で、7年連続で過去最低を更新しています。
講師として現場に戻る道はいくらでも開いています。
一般の会社員が転職に失敗したら、次の転職先を探すしかありません。
でも私たちには、帰る場所があるのです。
ただ、ここも正直に書いておきます。
私の周りに、民間に出てから教員に戻ってきた人はいません。
制度としては戻れますし、人手不足という事実もあります。
それでも「よくあること」として保証はできません。
ですから、この保険は「いざとなれば」という最後の安全網として持っておいてください。
最初から当てにするものではありません。
保険②:「いつでも転職できる状態」を保っておく
もう1つの保険は、市場価値を落とさないことです。
転職後も、
- 自分の経験を言葉にできる状態にしておく(職務経歴書を更新しておく)
- エージェントとのつながりを切らない
- スキルを伸ばし続ける
これを続けていれば「ここがダメでも、次がある」と思えます。
この余裕があるかどうかで、職場でのふるまいまで変わります。
✅️追い詰められた状態で働くのと、
✅️いつでも出られる状態で働くのとでは、
同じ職場でもまったく違って見えるはずです。
▶「教員の職務経歴書の書き方と5つのコツ」の記事へ🔗
そもそも「ブラックかどうか」は条件だけでは決まりません
最後に少しだけ話の角度を変えさせてください。
ここまで、労働条件の見方をお話ししてきました。
もちろん、それは大事です。
ですが、条件が良ければ幸せに働ける、という単純な話でもありません。
民間企業から教員になった友人がいます。
講師の期間も含めて、もう10年近く教壇に立っています。
その友人がこんなことを言っていました。
「同じことの繰り返しだから、面白くない」
1年生を持って、2年生、3年生と持ち上がって、卒業させる。そしてまた1年生を持つ。
「民間のときは、もっとやることが多かった。自分の出した成果が、そのまま会社の業績や給料に反映されていて楽しかった」
民間にいたころは、その分ストレスも多かったそうです。
それでも、「教員はストレスがない分、刺激もない」と感じているのです。
この話は、私にとって衝撃でした。
外から見れば恵まれているはずの環境が、その人にとっては物足りない職場だったわけです。
もう1つ、逆のパターンもあります。
私の勤務先から大学の教員に移った方が3人います。
大学の教員には、任期付きの講師、特任教授、准教授といったランクがあるそうで、専任になるためには研究論文を書いて成果を出し続けなければなりません。
私から見ると、正直かなり大変そうです。
ですが、その方たちに悲壮感はありません。
なぜなら、最初に「研究がしたい」という動機があるからです。
論文を書くことは、その人にとって「一連の作業」であって、苦行ではないのです。
定年後に再任用の道を選ばず、教育系のNPO法人を立ち上げた同僚の先生もいます。
労働環境や給与のことまでは聞いていませんが、とにかく楽しそうに働いています。
ここから言えることは、1つです。
同じ職場でも、
✅️動機がある人には「やりがい」になり、
✅️動機がない人には「負担」になります。
だから、1番確認すべきはこれです
条件面のチェックを全部やったうえで、最後に自分に聞いてほしいことがあります。
その場所は、自分のやりたいことができる環境か。
私が現役の教員として、読者のみなさんに1番お伝えしたいのは、これです。
残業時間も、年間休日も、年収も、大事です。
調べられることは全部調べてください。
ですが、それを全部クリアしても、やりたいことができない職場なら、長くは続きません。
逆に、多少きつくても、やりたいことができる場所なら人は続けられます。
大学に移った3人がまさにそうです。
「条件」で足切りをして、「動機」で選ぶ。
この順番を間違えないでください。
それでも、入ってみないとわからないことはあります
最後にもう1つだけ正直な話をします。
妻の転職先は誰もが知っている大手企業です。
プライドを持って働けていると思います。
ただ、入ってから知ったこともありました。
最初の2年で会社が指定する民間資格を取らなければならなかったのです。
しばらくは、帰宅してからも家で勉強していました。
これはブラックな話ではありません。
会社として当然の要求だと思いますし、妻もそう受け止めています。
ですが、入る前には知らなかったことでした。
どれだけ調べても、こういうことは起こります。
だからこそ、調べられることは全部調べたうえで「わからない部分は必ず残る」と覚悟しておいてください。
そして、その覚悟を支えるのがさきほどの2つの保険です。
逃げ道があると思えるだけで、人は強くなれます。
よくある質問
Q. 求人票の「みなし残業」とは何ですか?
- あらかじめ一定時間分の残業代が、給与に含まれている仕組みです。「月給35万円(固定残業代60時間分を含む)」とあれば、60時間分はすでに払われている計算になります。教員は残業代の感覚がないので、見落としがちです。必ず確認してください。
Q. 口コミサイトの悪い評価は、どこまで信じればいいですか?
- 口コミは辞めた人が書くことが多いため、悪い内容に偏りがちです。1つの投稿ではなく、複数の投稿に共通して出てくる内容を重視してください。
Q. 面接で労働条件を聞くと、印象が悪くなりませんか?
- なりません。むしろ、条件を確認しない人のほうが「本当に働く気があるのか」と思われます。聞きにくければ、転職エージェントに代わりに確認してもらう方法もあります。
Q. やはり学習塾は避けたほうがいいですか?
- そうとは限りません。ただし、夜型勤務や生徒募集のノルマなど、学校とは違う負担があります。「教えるのが好き」という理由だけで決めず、労働条件、特に雇用形態と休んだときの保障を確認してください。
Q. 教員の有給休暇や病気休暇と同じ制度は、民間企業にもありますか?
- 有給休暇は法律で定められているので、民間企業にもあります。ただし、取得しやすい空気があるかどうかは会社によります。 また、教員の病気休暇のように「長期間、給与が保障される」制度は、民間では会社ごとに大きく違います。ここは必ず確認してください。
Q. エージェントに「ブラック企業は嫌だ」と言ってもいいですか?
- はっきり伝えてください。「残業は月◯時間まで」「有給が取りやすい会社がいい」と具体的に伝えるほど、条件に合う求人を紹介してもらえます。
まとめ:物差しがないなら、借りればいい
教員がブラック企業を見分ける方法について、お話ししてきました。
最後にもう一度、この記事の結論をお伝えします。
教員はブラック企業を見分けるための物差しを持っていないので、次の3つの手順で「外から」判断してください。
手順①:自分で調べる(9つのチェックポイント)
手順②:他人の評価を見る(公的リストと口コミ)
手順③:転職エージェントを使う(実はこれが最も効率的)
そのうえで、本文でお伝えした大事なことをもう一度整理します。
まず、教員には企業を見分ける物差しがないという前提を、はっきり自覚してください。
民間企業で働いたことがないのですから、当然です。
恥ずかしいことではありません。
私自身、いま求人票を渡されても判断できる自信はありません。
それに加えて問題は学校というブラックな環境が基準になってしまっていることです。
🌀休日の部活動が時給900円ほどで処理される
🌀平日の部活動の付き添いは無給
🌀それでも年度初めには当たり前のように顧問のアンケートが配られる
この環境が普通だと思っている人間が、民間の求人票を正しく読めるはずがありません。
この感覚のズレが、1番危険です。
だからこそ、自分の感覚ではなく「外の基準」で判断してください。
手順①:自分で調べる(9つのチェックポイント)
- 法令違反
- 高い離職率
- ブラックになりやすい業界
- 年中求人
- 高すぎる給与
- 精神論
- 条件が変わる
- 夜のオフィス
- 休んだとき、給料が出るか
は、自分で調べられます。まずはここから。
そして最後の9つ目が教員だけのサインです。
「休んだとき、給料が出るのか」です。
予備校講師になった叔父は入院しても「授業をしない=給料が出ない」ため、休みたくても休めませんでした。
元気なときの条件だけで職場を選ばないでください。
手順②:他人の評価を見る
厚生労働省のブラック企業リストと、口コミサイト。
どちらも無料で見られます。
手順③:転職エージェントを使う
これが教員にとって最も効率的です。
エージェント経由の求人はブラック率が低い傾向がありますし、そもそも、いい求人は表に出てきません。
妻が受けた企業の求人も、転職サイトには載っていませんでした。
物差しを持っていないなら、持っている人に借りればいいのです。
それでも、ハズレを引く可能性はゼロにはなりません。
でも安心してください。
私たちには「教員に戻れる」という、他の誰も持っていない保険があります。
そして最後に、もう一度だけ。
条件を全部クリアしても、やりたいことができない職場なら長くは続きません。
逆に、外から見て大変そうでも、動機がある人はちゃんと続けられます。
条件で足切りをして動機で選ぶ。
この順番だけは間違えないでください。
安定を手放して外に出る決断は、簡単なことではありません。
だからこそ、その一歩を無駄にしないでください。
調べられることは全部調べて、使える力は全部使う。
それが後悔しない転職への近道です。
▶転職の全体像を知りたい方は完全ガイドへ
ということで、今日の授業を終わります。
※この記事で紹介している統計データは、公開時点で確認できた最新のものです。
※部活動手当の金額は、国が示す算定基準をもとにしています。実際の支給額は自治体によって異なります。
【参考にした資料】
・厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」
・厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」
・文部科学省「公立学校教員採用選考試験の実施状況」
・国税庁「民間給与実態統計調査」






